プジョー206 XT
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オススメフランス車
プジョー206XT 2000
>>現代の仏車を知る 2000.7〜2003.6頃
>>小さいクルマへ再シフト
XANTIAにはいろいろ理由を付けて(いつものことだが)、結局乗り続けないことに。抜群に良いクルマなので後ろ髪を引かれる思いは当然あったが。大きさもネックだったXANTIAの代わりなので、代替車に関しては、小さいクルマにしようと思った。実は借りていた車庫は狭い上にバックで20mさがるという難車庫(友人にクルマ貸すと誰も入れたがらない)。それがXANTIAのサイズだと苦しかったのもある。まあやはり小型車が好き、という理由も有るんだろうけれど。そして選択肢にはプジョー205、206、306、ルノー新旧ルーテシア、メガーヌなどが残った。

>>プジョーはどうなんだろ
正直言えば、ルノーシトロエンと乗ったが、プジョーには興味が湧かなかった。保守王道のクルマ選びから205でスポーツ路線に変身しつつも、依然仏車としては「まっとうなクルマ」を作り続けていたプジョー。失礼な言い方だが、偏屈爺の僕には「なにか物足りない」という思いがあったのだ。

>>206が気になる
だけどもよく考えれば、僕のような偏屈がエキセントリックさばかり求めていたって(こういう人種がまこともって厄介)、ご当地のフランス人は306や206をそれまでの仏車と同様に選び取っているわけだから、悪いはずがないし、自然な流れなのだ。そう考えると、軽快感があって、フレッシュなイメージの206が俄然気になってきた。何がいいってデザインがいいじゃないか。フレンチベストセラーに乗ってみるのも悪くない。何か新しい自分に出会える気がした。プジョーユーザーである自分というものに。

プジョー206 XT
右:小粋な赤い206。絵画館前の銀杏並木にて。チェリーレッドの206は即納のしるし?全206中8%しかなく、しかもマイチェンでカタ落ちした稀少色。2000.11 
>>勝敗をわけたもの
でもルーテシアも気になる。ちなみに今回のクルマ選びは新車が大前提だった。色々欲しい中古もあったけど、新車を買って長く乗ろう・・・それに実は中古車乗り継ぎで借金が雪だるまでして(泣)。思い切った精算を、ということもあり新車になったのだ。で、結局ルーテシアと206が候補に残った。シトロエンにこのクラスがあれば良かったが、当時C3は無かったのだ。ルーテシアはデザインも良く、椅子は満足するレベル、何よりルノーで入った仏車だから、ルノーは何度でも乗りたい。で、206。試乗して、気に入ってしまった。とにかく軽快に走る。フランス車の小型車らしいか、というよりは欧州の小型車の魅力に溢れていた。でも購入理由はそれだけではない。決め手は、ルーテシアにはインパネに小物入れが少なすぎたこと(笑)。それととにかくデザインだ。

>>赤いプジョーのヒミツ
別に赤いプジョーが欲しかったわけではない。大人気だった206は、納車待ちがとても長い。ショールームにあった展示車なら即納(あたりまえか)だというので、それを貰うことにした。そうして我が家には「良い意味で安っぽい」チェリーレッドをまとった206XTがやってきた。XTにしたのは予算的なこともあるけれど、ベーシックグレードにこそ仏車の魂が宿るという思いがあるから当然の選択だった。オートエアコンもフォグランプも付いた「プレミアム」もあったけど、はじめから買う気はなかった。206XTには素の良さがある。自分の身の丈に丁度イイ感じも良かった。

>>たしかにプジョーは面白い
乗り心地のことは後述。まずはプジョーの楽しさを語ろう。一言で言うならば軽快感に溢れている。いつだか乗った205と同じテイストだ。どっしりのルノー、ふんわりのシトロエンとは明らかにベクトルが違う。キビキビ走るのだ。ステアリングはシトロエンだってスローじゃないんだけど、プジョーはダイレクト感が違う。路面の状況がよくわかるからステアリングを握って、ああ僕は運転してるんだなって実感があった。そして小さい車体で、少し空いた都内をぐんぐん走ると気持ちが良かった。山道だけでなく都市でも面白いのでも必然ペースが上がる。プジョー乗っている人が結構飛ばしているのがわかるような気がしたし、実際、自分も気づくとペースがあがっているのを感じた。それほどに楽しいクルマであった。

プジョー206 XT

プジョー206 XTはこんなクルマ
▲2000年のフレンチブルーにて。友人KOのR9(ルノーヌフ)と。206は赤い車体なので、パリ消防局の消防車に「コスプレ」してみたの図。むこうの救急番号は「18」。
プジョー206 XT
※本国仕様、2.0HDI

プジョーを変えた大ヒット作205の後継車は、下の106、上の306に分かれた。一方ライバルのルノーは、205と覇を競ったサンクの後継車であるクリオ(日本名ルーテシア)が順調な販売を見せていた。
そこでプジョーは1998年、抜けていた200番台の「6世代」を販売した。これが
プジョー206である。従来のイタリアのデザイン工房ピニンファリーナが手がけたプジョーは地味でありつつも美しいデザインが売りだったが、206は社内デザイナーによるデザインで、これまでのプジョーとは一線を画した。それまでのプジョーは意識的に「上屋」を小さく見せるようにデザインされてきたのだが、206はモノフォルムのビッグキャビンとなり、306などで指摘されていたヘッドスペースの少なさも解消された。
エンジンやサスなどのクルマの構成自体は別段新しいことはなく熟成されたパーツの集合体ともいえたが、それがむしろクルマ自体の完成度の高さを生み、デザインの斬新さとあいまって欧州では大ヒットを記録。フランス本国では1.1Lからある206だが、日本には1999年早々に1.4Lから輸入された。ベースの1.4XTから2.0DOHCのS16などがラインナップされ、現在ではXTはスタイルに名前を変え、ワゴンボディやCCとよばれるカブリオレも仲間に加わったが基本的なデザインは変わっていない。
手頃な価格、豊富なラインナップ、スタイル、高い総合評価などにより206は日本でも大ヒットとなり、プジョージャポンの屋台骨を今でも支え続けている。
ちなみにプジョーの数字は、百の位が大きくなればなるほど車各があがり、0を挟んで末尾の数字が世代を表す(最近はついに1007がデビュー、4けたになってしまった)。

▲借りていた車庫にて、206のダッシュボード。質感はさておき、使い勝手は良く飽きの来ないデザインだった。でもホーンがウインカーレバーの先にない!のが最大の苦痛?だった。2000。盛夏。

>>思いの外、固い!
でも初代サンク-XANTIAを乗ってきた身体がいちばん求めていたのは乗り心地である。試乗の時はそんなに固さを感じなかったものの、いざ自分で乗るようになると、CG誌などでも指摘されていた「少々乗り心地が固い」ことを日に日に思うようになってきた。でも決して乗り心地が悪いのではないのでご注意を。新車だから仕方ないし、プジョーは2万キロからアタリがつくという話も聞いていたので、とりあえずこんなもんだろうと思うことにした。でもそれにしてもゼッタイ的に今までの仏車と比べて固い。

>>猫足とはなんぞや
プジョー=猫足。そう言われる。固いのなら猫足ではないのか、と思われるが、それはそうではない。確かに固めだが、それは入力側(突き上げ)。その入力を押さえ込むダンパーがしっかりと、しかもしなやかに動くプジョーは「固いのにしなやか」に脚が動く。段差には弱いが、入力がひたすら細かく続く石畳などでは脚の良さが実感できる。それと山道も良かった。これを猫足というのだろうか?

>>とにかくカッコイイ
ピニンファリーナを離れた206のスタイルは斬新さと実用性を高次元でまとめた希代でも随一の傑作のひとつにあげられよう。プジョーらしさと若々しさも備えている。特にウインドウグラフィックス(形状)の美しさが好きだった。タイヤと車体のバランスなども絶品。その後の307はその点何かバランスを欠く気がするs。

>>ほどよく広い
ルーテシアよりも広いリアのレッグスペース。トランクも必要充分な広さだ。日常生活で困ることはあまりないだろう。ただし流石に大人4人だとちょっと窮屈。とはいえリアシートはそんなに悪くないし、リアウインドウがちょっと小さめで微妙な閉鎖感が丁度良かった。

プジョー206 XT
▲今は無き表参道の同潤館アパート前にて。老朽化とはいえ、無くなってしまったのはおおいに惜しまれる。まるで日本離れしたこのような風景には、206は当然よく似合う。2000.7
プジョー206 XT 左:とある雑貨店の前で。優れたデザインだからいろいろと絵になるクルマだった。
2002.秋。
プジョー206 XT
プジョー206 XT
SPEC
全長*全幅*全高:
3835*1670*1440・
ホイールベース:2440
車重:1040キロ
エンジン:1360cc L4 OHC
最高出力:74ps/5500rpm

最大トルク:
11.1mkg/2600rpm
生産国:イギリス(!)
新車当時の価格:175万円
スペックは日本仕様
▲横川、碓氷鉄道文化むらに。据え付けのEF63の前で。躍動感溢れるサイドビュー。2000.8
▲精悍かつ愛嬌たっぷりのチャイニーズアイ。クチのようなインテークと黒いバンパーモールのデザインも秀逸。最近の206は一部でこのモールがボディ色になってしまい、どうも締まりがない気がするのは僕だけか。沼津、千本松原にて。2000.8
>>椅子が・・・
参った。フロントの椅子がイマイチ悪い。僕が仏車に乗る理由の多くがこれだからこれはイタイ。すごく悪くはないけど、いままでがいままでだったから、点数で言えば及第点+アルファのレベルだった。じゃなんで206買ったかって?うーん、試乗の時はそんなに悪くないと思った。でも長距離走るとわかる。これはつらい。仏車の椅子は背もたれにバフっと埋まって猫背で身体の体圧を四散してまったり乗るのが良かったのに、206の椅子は背もたれの上部が反っているし、身体をくずして椅子に任せる仏車座りも受け付けてくれない。助手席も椅子の下のスペースを使うためにアンコが薄い。ヘッドレストも固くて薄い。上体の体重が腰にかかり、痛くなる・・・。

>>疲れる仏車・・・
参った。これにも。疲れないから仏車に乗ってきた僕に、これまた致命的な欠点だ。どんなに疲れて帰宅しても、それから300キロ不休で走っても大丈夫なのが仏車だった。徹夜で500キロ走り通し、そのまま仕事が朝から出来るクルマ達だった。ところが206はどうか。東京から200キロ+の遠州に行くだけで途中で疲れてしまうのだ。ひとえにトータルの疲れない性能(無疲労性能)が低い部分が積み重なってそうなるのだろうと思った。まず椅子。突き上げる乗り心地。しっくりこないドラポジ(これは206自体の欠点ではなく、右ハンドル化の弊害)。イマイチの直進安定性。でも206の名誉のために言えば、この1.5L以下のクラスでは、相当いい基本性能を持っているのは確か。それは間違いない。前任がXANTIAでは相手が悪い。

>>燃費も良く、しっかり走る
エンジンはたった74馬力しかない、たぶんAXとかと同じ腰回り(ヘッドカバーも同じかな)の1.4Lエンジン。いろいろ改良されているのでPSA独特の「シャリシャリ」音はしないのが残念(?)。まあ要は8VのOHCなんで国産車じゃ逆にあり得ないロースペック。ところがこの206、良く走る。軽い車体にいいところでトルクを出すセッティングのエンジン。馬力の有無を意味無く競うのがバカらしいと思える。これで必要充分。こまるのは談合坂の登りくらいなのだから。燃費も都内ばかりでも10キロ程度はキープした。

プジョー206 XT
左:大雪の翌日。わざわざ出かけた山中湖。道中はとにかくスゴイ雪。途中、中央道の谷村PAにて。誰もいない。2001.1
●写真は特記(※)以外はすべて本人撮影。
プジョー206 XT
▲この年は雪が多かった。世田谷の自宅マンションの前も何度もこんな風に雪景色。スノータイヤでも206は雪に弱かった。2001.2 自宅前。 
>>さあ、車検だ、どうする
僕としては記録的に長い3年目。車検が近づいてきた。どうしよう。乗り続けるべく買った新車。ところが期待していた2万キロ越えても乗り心地は改善せず、諸般の事情で遠州へ月に2〜3度行かねばならないときも「ちょっとした苦痛」に感じるというくらいだった。遠出大好きの僕が、だ。まったくのノントラブルで、デザインの良さはまったくもって最後まで色褪せることなく、遠出はアレでも都内での運転は楽しいし、愛着も湧いていたのでさすがに手放すのはどうしようかと真剣に考えた。散々書いてるけど、魅力的な可愛い子猫なのだ。

>>ごめんね、そしてさよなら(またか)
でも、結局、買い替えることにした。その理由はまあ気に入らない部分が少々があるにしても、籍を入れて人を乗せる機会が増えたそれまでの生活を思うと、206では手狭であるというのが最大の理由だ。で、とにかく買い替えることにした。買い替えのことでXANTIAとの大きな違いは206は「すごく自分には合っていた」ということだ。だから寂しいのは否めなかった。後継車は、義母も運転できなければならない、トラブルは出来る限り有ってはならない、サイズはワンランク上でないとならない、新居の低い車庫に入らなければならない、しかも予算は206を売却した額から1円も出てはならない!さあ、僕は何をえらんだのでしょうか!何はともあれ206は、友人KOがエスパスを買ったお店(シーコネクションさん)の方が高額で引き取って下さった。

>>総論
ありがとう206。3年間、健気に働いてくれた。実用車としてこきつかったが、まさしくそういう用途にきちんと応えるアタリ、さすが仏車の実用小型車だった。
偏屈な僕に、現代の仏車がどんなものなのか教えてくれた。
206がすべてでは無いけれど、残念ながら求めていたところはすこしづつ失われていること、仏車らしさを充分残しつつも欧州車の標準になっていることを感じた。でも信頼性が昔とは桁違いにいいこと、誰もが普通に乗れるようになったこと・・・それはおおいに歓迎されることだし、売れているのは素晴らしいことだと思った。
結論としては206は良いクルマだった。もし、ファーストステップに買ったならば、いろんろなことを学ぶことが出来るだろうし、きっと毎日が幸せで、豊かで、楽しいものになると思う。ところで次の207?2007?が307みたいな肥大化とミニバン化しないことを切に願う・・・みなさんはどう思いますか?

プジョー206 XT
右:長野へのドライブの途中、岡谷から塩嶺を越え、道の駅で一休み。タイル模様が美しく206の車体に映える。デザインのポイントの一つである切れ上がったリアランプが、赤い車体に埋まってしまうのが惜しい。2000.9
プジョー206 XT
右:後ろ姿をもう一点。軽井沢のカフェ兼アジア雑貨店にて。緑に映える明るめの赤。2002.7
Notre voitures/僕と友のクルマたち
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