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オススメフランス車
ルノー4 GTL 1987
>>フランスの農具。大昔のルノーの良さ
>>友人KT、先祖返りす
僕と同じ旧型サンク(ただしフランセーズではない)に乗っていた友人tauko君が次に選んだのがルノー4(R4=キャトル)。いろいろトラブったサンクに見切りを付けたのは決定的な理由としてクーラー/エアコンがなかったことだったので、R4には必然クーラー付きの個体が選ばれた。色は鮮やかなパステルブルー。ちなみに初代サンクはR4の機構をキャリーオーバーした事実上のリニューアル車だから、先祖返りしたような感じだ。メーターまで同じ。また同じメーター!

>>2CVと対比される、古典的フランス車
フランスを代表する小型車、それが2CVとR4だと言っても異論は無いと思う。2CVの項目でも述べたけど、とことん実用的で、とことん合理的な「何にも付いてない」という意味では、まったくもって同じ系統のクルマだ。設計がすごく古いのに、80年代頃〜90年代頭まで新車で買えたということも同じ。最小限の馬力で、最大限の荷物や人を運び、乗り心地が良いのもまた同じ。ちなみにR4は2CVよりも設計が後発なぶん、リアハッチの付いた箱形の車体で多少近代化したし、使い勝手も良い。エンジンだって4気筒の水冷だから、2CVよりは随分レベルアップしている。でも、R4は2CVをライバルと据えて開発された「あくまでもフランス大衆のアシ」であったことも同じだ。

>>農具のようなクルマ
R4はルノー初のFFとして1961年に登場したから、1948年の2CVと大差ない。でも世界初とも言える「ハッチバックボディ」を採用し、小さい車体ながらもフラットフロアの広い車内と荷室を実現したR4は、2CVほど愛嬌はないけれども「農具・道具」としての性格はより強いように思う。事実R4は客貨物車として彼の元で八面六臂の大活躍を見せているのだ。

▲八ヶ岳の別荘地、まだ10月だが高原はすっかり秋の風情。霧雨の早朝、ヘッドライトに照らされてR4が浮かび上がる。・・・どれにしてもコンタックスのT2、コンパクトなのに良い写り。2002.10
>>こうまで違うふたつの哲学車
2CVと違うのはその「実用性」だけではなく、アプローチの違いにもよる部分が大きい。それはそのままシトロエンとルノーのクルマ作りの違いそのものであることが興味深い。全身これ理想主義的なシトロエンと違い、R4はルノーらしくある意味平凡なメカニズムを流用し、それを現実的に独自の合理主義で組み上げた設計となっている。となると走りや味付けが全く違うのも無理ないことである。2CVはふわふわと軽い感じの乗り心地と、浮いたように走る直進性、そしてR4はじっとりとした柔らかいサスに、路面とタイヤが何かで繋がったような「糸を引く」感覚で進んでいくという違いがある。ステアリングフィールも違う。意外にダイレクトでスポーツカー的な2CV、まわしてもまわしても曲がらないR4・・・。

>>フランス車としての性能
エンジンは1108CC、34PS。スペックしか見ない人からすれば、鼻で笑われてしまう数値のR4。ところがところが、これが実に良く走る。車重が軽いのは当然だとしても、それにしても追い越し加速が鈍いとか4人乗せるとつらいとか、そういう状況意外は別段ストレス無く走る。ひとえに数値では推し量れない、フランスのエンジン特性の賜物だ。そして忘れては行けないのが直進安定性。これはたぶん現代の日本の軽自動車がどれだけ頑張ってもまだ勝てない。見た目は鉄板細工みたいなR4だけど、素晴らしい乗り心地とその直進性、ルーズに乗れるラクチンOHVエンジンなどの「疲れない」条件が揃ったR4もまた、素晴らしい「無疲労性能」を発揮する。一般道、高速、山道を走って一日750キロ乗ったことがあるけれど、まったく疲れなかったとは言う気はないにせよ帰宅時は元気だった。1961年設計のR4がこうなのだから、やはりフランス車は凄い。ただ、惜しむらくはR4GTLはシートがあまり柔らかくなく、ルノーらしくないことだ。乗り心地はいいが、後席は客貨車の宿命か、ハネ・突き上げが大きいのも少々マイナス。

>>壊れないはずなのに
2CVほどでは無いにせよ、R4はシンプルなクルマであるが、tauko君のR4はどうにもこうにも電装系のトラブルに終始悩まされ続けた。結果的には発電系統の整備不良だったことが判明したので、今は事なきを得ているけれど、でもそれだけにとどまらずチョコチョコといろんなところが壊れた。むしろ初代サンクの方が壊れなかった・・・のはなんとも。

←2002年のフレンチブルーはひどい霧だった。でも逆にR4のような古いクルマにはしっくりきた。華奢なイエローバルブを輝かせて走るR4は、ここが日本だとは思えない風景を与えてくれた。
2002.10

ルノー4 GTLはこんなクルマ
※本国仕様、R4TLクラン。

戦後フランスの復興を支えてきたルノー4CVに代わり1961年に登場したルノー初のFF(前輪駆動)車がルノー4(R4=キャトル)である。いまでこそ当たり前のハッチバックボディであるが、その嚆矢がこのR4であった。クルマにとことん実用性を求めるフランス大衆にとっては、まさに待ちこがれたクルマだったともいえる。シトロエン2CVが先駆けた安価な実用車というジャンルに投入するべく、このR4もまたシンプルな設計だったが、設計年次が新しいぶん、ボディは2CVに比べればだいぶ「近代化」され、前述の如くのテールゲートを与えられた広いハッチバックボディを採用するなどして、より一層「道具」感が強いクルマとなった。確かにそれまでのRRとは大幅な設計変更がされたが、2CVほどエンジニアの理想を突き詰めた設計とはなっておらず、エンジンはそれまでのキャリーオーバーである水冷L4、サスも左右でホイールベースが違うなどの大胆な設計ではあるものの2CVのような前後関連サスなどは用いずにオーソドクスなトーションバーを採用するなどしている。だが2CVと同じく、「フランス大衆の道具」としての使命を全うすべく、乗り心地は優れ、最小限の燃料で最大限の仕事をするうクルマであった4CVは、これまた2CVと同じく息の長いモデルとなり、結局1993年まで実に33年間製造されるに至った。その間、エンジンは次第に拡大、また時代の要請で装備が次第に増えていくな改良を行っていったが、1978年、最上級版としてそれまでの上級グレードTLよりも装備を増やしエンジンを1108CCに拡大したGTL(グラン・TL)を追加。大きなサイドモールなどで判別できるこのGTLは、日本にも正規輸入で多数導入され、お馴染みのモデルにもなった。なおR4には、1970年代仕様に近代化を施したルノー6(R6=シス)や他用途車のロデオなどの派生車があるが、後継となるべく用意されたR6は結局R4の人気には敵わずに先にフェードアウトした。これは2CVに対するディアーヌも同じ運命を辿っていることが興味深い。

▲2CVが前でごめんなさい。とにかく、こんな感じで僕はこのフレンチベーシック2台で走る秋がとても好きだ。落ち葉を巻き上げ、イエローバルブで路面をほんわかと照らせば、そこはもうフランスな気分になれるから。2003.10 泉郷(八ヶ岳)

>>R4に乗るということ
tauko君は僕と同じ小型実用車フェチで稀少車マニアであるから、実はR4に乗ることにこころならずの気負いがあるのも事実だった。それは「R4は、だれが見てもお洒落な感じってわかってしまう」ということだ。要は「見る人が見て、ああ、こいつバカだなあ、わかってんなあ」って思ってもらいたい(W)のであります。そうなると、R4はメジャーだし、前述の如く「お洒落に見えてしまう」のだ。それに、批判を浴びることを覚悟で書くとすれば、R4はR4の世界で帰結してしまうおそれがある。残念なことに、R4に乗る多くのユーザーが、ルノーが好きと言うよりはR4が好きな方が多い。それはそれで全然構わないのだけれど、ルノーが大好きな僕らは、R4のあとにR5を買ったりして、ルノーの世界を、いやフランス車の世界をもっと拡げていって欲しい。勝手な思いです。

>>古いフランス車の濃縮袋
でもtauko君は、結局はR4を愛している。それは「自分にあっているから」ということなのだろう。たしかにメジャーなのはひっかかる。僕だって本当のこと言えば2CVよりはディアーヌやアミが欲しいからよくわかる。けれど、R4は、独特の世界と、ルノーらしさ・ルノーの良さがたっぷり詰まった、良い意味での旧さを持っている。薄れる前の、濃厚なルノーそしてフランス車の味もこれでもかと押し寄せてくる。しかもそれが「我慢しなければならない」ほどの年式の古いクルマではなく、80年代後半の「ちょっと、古い、クルマ」のレベルで運転できる。そして実用的な車体、別段日常では不満のないパワー、トドメは1960年代そのままのスタイル。R4は魅力一杯だ。

>>紛れもなく
たぶん、だから、そうそうなことがない限り彼はR4を手放すことはないだろう。そう、R4はR4であるという以前に、紛れもなく「濃いルノー」であるからだ。そして、彼には、メインカーとして代わりになるクルマがないのもその由。代替があるとすれば、日本にはほぼ入っていないルノー17(R17=ディセット)などの「変態度アンフィニ」なクルマくらいかなあ・・・。

→夜のオートルートのパーキングで佇むR4。小さなリアランプがとってもかわいい。2003.1、東名愛鷹PAにて。
▲デビュー当時のR4はこんな顔だった。シンプルそのものである。ライト、グリル、バンパー。機能だけで造形されていると言っても良い。ちなみにR4の廉価版にルノー3(R3=トロワ)というのがいた。※
SPEC
全長*全幅*全高:
3690*1510*1530・
ホイールベース:2400/2450mm
車重:700キロ
エンジン:1108cc L4 OHV
最高出力:34ps/4000rpm

最大トルク:
7.5mkg/2500rpm
生産国:フランス
新車当時の価格:251.8万円
▲その後こんな感じでグリルが変わった。この写真は1974年ごろ。最終的なR4と違い、前ドアのヒンジが露出していたり、ダッシュボードの造形が異なる。※ ▲80年初め頃のR4TL。最終的にはバンパーはメッキから塗装になるなどの変更が行われているが、ほぼこの形態のまま最後まで生産された。なおGTLには側面に大きなプロテクタが付く。※
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●写真は特記(※)以外はすべて本人撮影。

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